呼吸投げには、相手との位置関係や力の方向によって「表(おもて)」と「裏(うら)」の2つの変化があります。これは合気道のすべての技に通じる根本的な動きの分類です。
1. 呼吸投げ【表】(正面から入り身する)
相手の前面(お腹側)に直接入り込んでいく動きです。
- 動きの特徴: 相手の攻撃ラインをわずかに外しつつ、相手の懐(ふところ)へ真っ直ぐ、あるいは斜め前方へ鋭く「入り身」します。
- 理合: 相手の力が自分に向かってくる勢いを、そのまま前方に突き抜けるようにして利用します。
- イメージ: 相手の懐に飛び込み、相手のバランスを前方へ崩して投げ切る、ダイナミックで力強い動きです。
2. 呼吸投げ【裏】(背後に転換する)
相手の背後(背中側)へ回り込んでいく動きです。
- 動きの特徴: 相手の側面に位置を取り、軸足を起点にして大きく体を入れ替える「転換(てんかん)」を行います。
- 理合: 相手の突き抜けてくる力を、円を描くようにして自分の背後へ導き、相手の死角(背中側)へと崩します。
- イメージ: 闘牛士が牛をかわすように、相手の力を円運動で受け流し、螺旋(らせん)状に地面へと導くしなやかな動きです。
【当道場での指導のポイント】
呼吸投げは一番最初に習う技です。構えや足さばきの基本を身につけます。大きく3つの動きに分解して覚えますが、指先から足先まですべての注意点が理想どおりにできるようになるだけで5~6年かかります。
- 体捌き(たいさばき): 表・裏どちらにおいても、足運びが重要です。相手の死角に一瞬で入る鋭い足捌きを反復練習します。
- 呼吸力の一致: 手先の力で投げるのではなく、下半身から生み出した力を指先まで通し、相手と「結ぶ」感覚を養います。
- 安全な受け身: 呼吸投げは勢いよく投げられることが多いため、投げられた側がどの方向でも安全に転がれるよう、受け身の稽古とセットで習得します。