合気道の技は、力任せに相手をねじ伏せるものではありません。相手の力を利用し、円を描くような動きで自分と相手を一体化させる、独特の美しさと合理性があります。
【合気道の技の3つの特徴】
- 円の動き(転換) 相手の正面からぶつかるのではなく、円を描くように動いて相手の力を受け流します。体が小さなお子様でも、大きな相手を制することができる理由です。
- 相手と「結ぶ」 相手の手を掴んだり、掴まれたりした瞬間に、相手の力と自分の力を一つに合わせます。これを合気道では「結び」と呼び、争いを収める第一歩と考えます。
- 自然な体の使い方 無理に筋肉を使うのではなく、重力や遠心力、そして呼吸の力(呼吸力)を利用します。稽古を続けることで、無駄な力の抜けた、しなやかで力強い体が作られます。
【主な技の種類】
合気道の技は大きく分けて「投げ技」と「固め技(抑え技)」があります。道場では、これらを繰り返し稽古することで、体と心を磨いていきます。
● 投げ技(相手を安全に導く)
- 入身投げ(いりみなげ): 相手の懐にスッと入り込み、大きな円を描いて投げる技です。合気道を象徴するダイナミックな技です。
- 四方投げ(しほうなげ): 剣の振りかぶりの動作を応用し、四方八方どこへでも投げられる基本の技です。
- 天地投げ(てんちなげ): 片手を天に、片手を地に伸ばすようにして、相手のバランスを崩す美しい技です。
- 小手返し(こてがえし): 相手の手首を返して、相手の力をそのまま相手に返す技です。
● 固め技・抑え技(相手を制する)
- 一教(いっきょう): 相手の腕を優しく、かつ確実に抑え込む、すべての技の基本となる大切な動きです。
【稽古の形態】
- 体術(たいじゅつ): 素手で行う基本の稽古です。
- 武器術(ぶきじゅつ): 木刀や杖(じょう)を使います。武器を持つことで、手の延長としての体の使い方や、間合い(相手との距離感)を深く学びます。初段以上で行うことが多いので、当道場では木刀の素振りを行う程度です。
指導員からのメッセージ
「合気道の技は、相手を傷つけるためではなく、お互いの安全を守りながら高め合うためのものです。最初は難しく感じるかもしれませんが、一つひとつの動きを丁寧に楽しみながら身につけていきましょう。」
合気道の技の特徴:伝統と継承
私たちの道場では、合気道の「和」の精神を大切にしながらも、開祖・植芝盛平先生が初期に示された「厳格かつ力強い武道としての技」も大切に継承しています。
【当道場が守り続ける「初期の技」】
合気道は時代とともに変化してきましたが、当道場では開祖の初期の教え、すなわち「激しさ」と「鋭さ」を伴う伝統的な技を、今も変わらず稽古の体系に組み込んでいます。
- 武道としての本質(実戦性): 単に形をなぞるだけでなく、相手の動きを瞬時に制する鋭い入り身(いりみ)や、隙のない体捌きを学びます。この「厳しさ」を知ることで、真の意味での「優しさ」や「強さ」が身につくと考えています。
- 伝統の継承: 初期の技は、理にかなった身体の使い方が凝縮されています。これらを学ぶことは、合気道の歴史を肌で感じ、武道としての根源的な力を養うことに繋がります。
【稽古の進め方:段階的な指導】
「激しい技」と聞くと、怪我を心配されるかもしれませんが、当道場ではお子様の成長段階に合わせて安全に配慮した指導を行っています。
- 基礎の習得(守): まずは、安全な受け身と基本的な体の動かし方を徹底して学びます。
- 技の練磨(破): 基本が身についた段階で、合気道本来の鋭い動きや、より実戦に近い技の形に触れていきます。
- 心身の合一(離): 激しさの中にも冷静さを保ち、相手と調和する「合気」の境地を目指します。
指導方針:なぜ「激しさ」を教えるのか
私たちは、現代社会を生きる子供たちにとって、「本当の厳しさに触れる経験」は非常に貴重であると考えています。
- 技が鋭いからこそ、相手を尊重し、怪我をさせないよう細心の注意を払う。
- 激しい稽古を乗り越えるからこそ、自分に自信が持てるようになる。
昭和54年の設立以来、この伝統的な武道教育を通じて、心身ともにたくましい青少年の育成に励んでいます。
動画のご紹介
1935年に大阪の旭新聞(大阪朝日新聞)によって撮影された、植芝盛平先生の貴重な演武動画をご紹介します。
この動画は、当時「合気武道」と呼ばれていた時代のものです。現代の合気道に比べて動きが非常に直線的で鋭く、入り身の深さや当て身(打撃)の活用など、貴道場が継承されている「初期の激しい技」の原型を視覚的に確認することができます。